かつら初装着から4年目。すでに1回かつらを買い換えている。 Eさんは、フサフサなかつらを嫌った。 ちょっと額が広いかな、という程度の控えめな毛量のかつらにしたのだ。 だが、結果的に、それがEさんに悲劇をもたらした。 ある日、職場の飲み会があった。宴が盛り上がった頃、突然、Eさんの先輩がふざけて 「おまえも額が広くなってきたなぁ」と言いながら、Eさんの額に手を当てて 生え際を確かめようとしてのである。 ピン留め式のかつらを、下から持ち上げるのだからたまらない。 その瞬間、かつらのフロントピンが外れ、かつらのフロントがぶわっとめくれあがった。 Eさんは驚いたが、先輩も驚いた。 先輩は、まさかEさんが、かつらだとは思っても見なかったのだ。 悪気はなかったとは言え、一瞬にして、Eさんは屈辱を味わうことになってしまった。 (続く) |